【アフターコロナの今とこれから】ーVOL.2 熊澤代表に聞いた!この社会との繋がり方

2023.06.12

INTERVIEW

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インターン生 あきら

前回に引き続き、熊澤代表へインタビューをした際の様子です。今回はより話を広げてアフターコロナの大学生のあり方、そして人とのつながりについて伺いました!

(「VOL.1 熊澤代表に聞いた!キャリアフラッグの今」はこちら

情報過多な就職活動をどのように戦うのか

あきら:今、オンラインのイベントや講座が多くて、選択に迷いとても苦労しています。さらにほとんどがウェブでやっているため、現状がいまいちわからず、完全に情報戦になっています。何をやって何をやらないのかという取捨選択の難しさは、オンラインの講座が増えたことによって生じた悩みでもあるような気がします。

熊澤「何が価値なのか」の判断基準は自分の中で、汲み上げていって積み上げていっていかないと、ただただ振り回されちゃいますよね、きっと。情報がたくさんあるし、移動が必要じゃなくなったことが混乱の要因の一つでしょうね。

あきら:出ようと思えば全部出られるような日程で組まれていたりするので、果たしてこれ全部出る必要はあるのかみたいなふうに思うことはあります。

熊澤whyを考える能力が高い人がやっぱり情報を精査していくことになるんじゃないかな。なぜそこに行かなきゃいけないんだろうっていうのを、内的なキッカケとしては自分がおもしろそうって思うから行くでいいんだけど、外的にはそこに行かないと手に入らないものがある…ということを運営会社から、ちょい見せさせられているしね、参加したら〇〇円のカードをプレゼント!ってのも増額の方向ですしね。。。なにしろwhyをしっかり精査してから行動を起こすっていうことに、アンテナが立つ人が効率的に動いていける人になるんじゃないかな。

これからの授業形態は

ひなた:私は絶対に対面で先生の話を聞いて、ちょっと周囲と喋りながら授業を受ける方が効果はあると思っています。しかし、コロナ禍でオンライン授業に慣れてしまった大学生も多いですよね。

熊澤:そうね。でも、学校側がそうしたい、対面に戻したい!と言っても、受講している学生たちがもう進化しちゃっていますからね。戻そうとしても戻せないっていう苦しみは、これから味わっていくんじゃないですか。特に大規模大学さんたちは、やっぱりもう現実的に何百人向け講座を1日に何回転!と効率よくやるっていうのはもう無理なので、大変になっていくモノもあるかもしれないですね。一方で、ゼミや周りの人から何か言われる価値を感じられる場や自分がマイクを持って前で喋る機会が持てるようなワークショップ型の講義は価値が高くなっていると思います。情報量が多いですからね、足が震えていることとかが価値の高いメッセージとして相手に届いている講座と、Zoomの前でカメラの横に下書きを貼って読んでいるみたいなプレゼンテーション講座とは多分違いますよね。

コロナ禍における危機感について

広報チームのプロジェクトリーダーである藤井さんにもご参加いただきました。

藤井コロナ渦のときに痛烈に感じた危機感「これやばいぞ」というのはどのようなところですか?

熊澤:コロナ中で、次世代の人たち、、、そうですね。わかりやすく言うと、子供たちに引き継がれなくなってしまうことが生まれるということは、めちゃくちゃやばいと思ったんです。コロナで食べていける人たちだけが上手に食べていければいいんだよ、自分たちが自分たちで生きていければいいよね、という「ガラパゴス化」というんですかね。それが当たり前になっていくのではないかということにとても危機感を感じました。大きな壁を作って中に自分達だけ閉じ込もっていればいいよ、というのは危険だとすごく感じましたね。そんな漫画ありましたね。。。

フリーランスって、何となくかっこいい響きだななんて思ったことがあると思うんですけど、フリーランスの人が1人でやっていこうとしたら多分。売上って上がりにくいんです。逆説的に言うと、「フリーランサーズ」みたいな形でやっていかないと生きていけないのだと思うんです。キャリア支援の世界では特にね。個人事業主になったからこそ個人になってはいけないというか、1人でやっていくんだ!!と思っているんだったら、逆に社会の施策や税制度の変化などに敏感に本質を見抜いていかなきゃいけないです。自分のことばっかり考えているフリーランスの人って多分発展してはいけないんじゃないかな…と思います。フリーになったからこそ誰かのためにめちゃくちゃ仕事ができるようにならないと、特にそれが大切な仲間とかのためにやれるようになっていかないといけない。自分が損しないように…とか、自分の得を先に考えて。。。みたいなことを考えていると、自分のレーダーが誰かと繋がっていて生かされてきたことに気付けない。そのレーダーが、コロナでピッと切り取られちゃいそうな感じがして、怖かったところがありますね。

あきら:熊澤さんがおっしゃっていた恐怖や危機感というのを私は全然感じなかったのでいまいち理解できなかったという部分がありました。それは私が社会に出ていないからなのか、学生だからわからなかったのか。だから共感しかねると言えるかなと思いました。

熊澤:いいと思いますよ。これは熊澤が持っている「社会や誰かと繋がっていないとマズイよ。。。」という価値観はオジサンの熊澤のものなので、どっちが正しいかって言ったら、きっと辰己さんが正しいんですよ、新しい世代なんだから。でも熊澤が信じているのは、やっぱりそれでも仲間は大事だと思うし、めちゃくちゃピンチになったときにやっぱり仲間がいないと、支えきれないものがあるんじゃないかということです。それは学生さんたちにも伝えたいなっていう風に思っていますね。

オフライン、リアルな人との関わりとつながり

熊澤やっぱり学生、「学ぶ」をやっている人たちは究極、個人でいいんだと思うんですよ。でも社会人は、個人じゃなくて社会の人って書くから。社会って2人以上の人たちのことを指すわけですよね。2人以上の人になった瞬間にそれがその夫婦であったとしても、家族であったとしても、それを支えなきゃなとか、それをどうにかしないといけないって思ったときに、自分の個人としてのキャパを超えるんだと思うんです。自分だけのキャパで生きていっているうちは余裕を感じていて、大丈夫なんだと思うんですけど、自分のキャパを超えて存在せねばいけなくなったときに、自分以外のものを守ろうとすると…ですね。耐えられないほど苦しいことが起きるんですよ。こりゃ無理だ…キャパオーバーだ…ってなったときに、仲間がいると弱音が吐けるし涙が流せるんですけど、1人だと泣けないんですよね。

藤井人間の記憶ってにおいが一番記憶に残ると言いますが、実際の目で見たり五感で体感することで記憶になって血肉になっていくんですよね。オンラインの画面上でやったことはおそらく記憶や体感として残っていなければすぐ忘れるし、血肉になっていなければ再現できないと思います。ただ持っている情報になってしまうんです。だから最近大学がPBLや学外に出ることを促しているのは、体験することが大事だという人間の普遍のものがあるからなんです。同じ空間にいて非言語コミュニケーションがあって、同じ時間が流れて、においがあって。そういうことが必要だっていう感覚を私と熊澤は持っています。

1人じゃ生きられないと気づいてくのが社会に出ることでもあるんです。1人でもいいやと思っていると無理なんですよ。社会に出るというのは相手の事を受け入れなきゃいけないし、自分が変わっていかなくてはならない。相手を変えよう変えようとするのも無理があるんです。必ずそこには譲歩や妥協があり、人間同士が触れ合って得られる感覚があります。そういう体験が必要だなっていうのはすごく感じています。

若くセンサーが敏感な学生のときにさまざまな経験を味わうというのは非常に大事だと思います。心が動かされた体験はとても貴重です。私は広報の仕事でもコミュニケーションを発生させることやリアルの場所を作ることを企画してますが、コラムのインタビューも記事にすることだけが目的でなく学生と社会人が対話することをまず第一に考えています。

あきら:そうですね、今回のこのような機会も非常に重要な場ですね。

藤井:人口ピラミッドがどんどん小さくなっていく社会で、安心して子供を育てられるような環境を作ってくことを政治や企業がやるということももちろん必要ですが、個人も人間力をつけていく、自信をつけていくことが必要だと思っています。ビジネススキルだけじゃないトータルな学びっていうところの興味はもちろん皆さんあると思います。目先の目標をコンプリートしていくことに追われることもあるけど、中長期の人生勉強みたいなものは、やはりyoutubeやスタディサプリでは得られないものです。リアルで体験をした時に、何かを得たという感覚と自信、あの時に誰と何を語ったという対話の体験の記憶、そういうのを大事にしてほしいなと思います。

熊澤:スポーツでも、勉強でも、一緒に何かをやったから仲間だよね!というつながりは。とっても感情に結びついているし、それを追いかけて、安心安全の誇りを手に入れた場所・コミュニティを「学び舎」と呼ぶなら、学校って機能していると思うんですよ。人にはそれが必要なんじゃないかというふうに私は思っているんです。必ずへこんでも帰ってこられる場所とか弱音が吐ける場所とか、当時のこと思い出すと涙が流れそうになっちゃうこととかも、そこにあるっていうことが必要なんじゃないかなというふうに思っています。卒業すると色んな事で、所属する会社も変わっちゃうし、それこそ業界も変わっちゃうかもしれないし、なんなら家族がわかれちゃうこともあって、想像できないほど、いろんなことがあるけど「戻ることができる」という場所が1個あるだけですごく人は胸を張って前に向かっていけるんじゃないかなって思うんです。そうやってお仕事の提案をすると、基本的には拒絶する学校はありませんしね。本当にそういう場所が、みんなに必要だと思っています。それは学校じゃなくて、地域社会とかお店かもしれないですけどね。

昔、何千人という参加者を巻き込むイベント系の学生団体を立ち上げた時に、代表(同級生の女性代表・ニュージーランドに移住した…)からこうやって言われたことがあります。「匠は、おかえりって言ってくれそう」「どんな状況になってもあんたはおかえりって言ってくれる気がする」って。おかえりって言ってあげられる人はそれが旗印というか、あの旗のところに戻れば何とかなる、そういう感覚で生きているんだと思うんですよね。

まとめ

熊澤:やっぱり事業なので最初は売り上げの話から入ったんですけど、利潤を追求するっていうのは企業の役割ですから、それはもちろん大事ですよね。けれど、それよりも社会的意義みたいなところでは、安全安心の場所、コミュニティ作りみたいなところが一番大きなキャリアフラッグの考えているところでもありますよね。それがコロナで本当に不安だった中でいつでもオンラインで情報伝達(会話)はできるようになった。やっぱり怖かったからね、その量は増えたかもしれないんですけど、それだけに、対話は希薄化していると感じています。だから、逆に、所属の部分で安心安心な場所の価値を高めようというところは、この中でも一番大事にしたところです。これは別に会社運営とか、大学向けに売上を上げるという商売のことだけではなく、ものすごい力を持っていて、本当に大切なことっていうのは実はそういったところなんじゃないかなと思っています。

あきら:わたしも社会に出てからも仲間との繋がりを大事にしたいと思いました。お時間いただきありがとうございました!

 

編集後記キャリアフラッグのこと以上に社会について人とのつながりに焦点を当てたお話でした。確かに、コロナ禍での思い出と言われるとリアルな体験が少なかった分なかなか多くは思い浮かばない気がします。心理学を学んでいてわかっていたはずのリアルでの人とのつながりや経験の重要性というのを、再認識することができました。コロナ禍を機に積極的に人との交流を持たなくなってしまいましたが、これからは意識的に人と関わっていきたいと思いました。また、今回はオンラインでの実施でしたが、相互にやりとりができたことによってリアルに近づけた時間になった気がします。私にとってこの機会は記憶に残る体験となったように感じます。

 

執筆/インターン生 あきら 大学3年・心理学専攻