【大学生がキャリコンのキャリアを聞いてみた】 vol.1
2022.06.14
INTERVIEW
AUTHOR
インターン生 ひなた
親でもない、学校の先生でもない、キャリアコンサルタントという存在。
人のキャリアと向き合うキャリアコンサルタントのキャリアとは?
普段は就活相談などを通じて学生と向き合っているキャリアコンサルタント、学生の話を聞く側の方が、ここでは学生から話を聞かれる側に。
第1弾はキャリアフラッグインターン生の佐々木陽向がキャリアフラッグの中の人の、キャリアストーリーやお人柄を深堀りしてきました!
今回インタビューをさせていただいたのは、学校の先生・塾講師などのキャリアを経て、現在はキャリアコンサルタントと社会保険労務士としての2つ顔を持ちさまざまな場所で活躍されている「平野裕子」さん。
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なぜ学校の先生ではなくキャリアコンサルタントの道へ?
平野裕子さん(以下「平野さん」):
実は祖父の代が全員お坊さんで、両親も学校の先生なんです。なので小さい頃から説法を聞いたり、禅寺だったので座禅を組まされたり、夏休みになるとお堂に子供たちがいっぱい集まって、みんなで納骨堂のすぐ側で雑魚寝したりしてました。その中で育っていたので、小学2年生くらいには自分も学校の先生になると思っていて、そのまま大学生の時に教育実習にも行きました。
でも、そこで私は学校の先生向きじゃないんだなっていうのに気がつきました。とにかく教えてて思ったのは、「私の授業がわかる生徒は点数が良いから成績5とかになる。だけど、私の教え方が合わない生徒は、分からないから点数が悪くなってそのまま成績も1になる。」そういう感覚を覚えて、それなら私は学校で教えるんじゃなくて、分からないって悩む子たちに教える方が向いているなと思って、卒業後は学習塾に就職したんですよね。
そこが最初のキャリアの本当の入り口になったんですね。
平野さん:
はい。就職した学習塾を28歳で辞めて独立もしましたが、計15年くらいは塾で子供たちに勉強を教えたり保護者の方たちとのお話・進路指導をしながら過ごしていました。そしてある時たまたまリーマンショックの後で就職ができなかった方たちの支援をするっていう機会があって、「子供たちの成績を上げる大人って結構いるけど、子供から大人になるところの橋渡しをちゃんとするためのサポートって案外ないんだな。」っていうのを感じて、それで大人向けの研修講師という方向に向かっていくことになりました。
企業の新入社員研修や支援、色々なことをやりながら、その中で労働法の知識が必要だなと思い、社労士の勉強も始めました。
(専門学校や独学の勉強を通じて合計6回・6年かけて合格されたそうです。働きながらここまでできるって本当にすごいです。。)
今まで十分学生向けの何かっていうのはやってきたんですけれども、技術としてキャリアカウンセリングのスキルも必要だなと思い、この資格を取ってみたという流れです。
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今はキャリアフラッグ以外にもいろいろとやられてるのですね。
平野さん:
何でもやってみたい方なので、とりあえず1回しかない人生だから、悪いこと以外は大抵やっとこうと思って。笑
そういう方がキャリアフラッグの中にはすごく多そうです。(インターン2ヶ月目の所感もすでに。)
平野さん:
なんかそうなんですよ。だから性に合ってると思ってます。
本当に口八丁手八丁で世の中を渡ってきたというか、特に企業の研修講師とか、新入社員向けの研修とかって、「皆さんいいですか。社会人っていうのはこうですよ。」みたいな理想像をお伝えしていくじゃないですか。
はい。
平野さん:
そのわりに自分のお家に帰ってくると、もうナメクジのように、、。お見せできない笑ーー
この後のインタビューでも何度か「自分はナメクジ」と仰っていた平野さんですが、笑
「学生の支援や企業の研修講師って基本は教えること、やっぱり伝えることが自分の天職」
とも教えてくださいました。
また、やられている研修の種類も、スキル系から社会人の基礎研修・テクニカルなもの等、研修の種類も時代の流れで変わっていったようですー。
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様々な研修をやられている中でどの辺りに魅力を感じているのでしょうか。
平野さん:
そうですね。流れとしては1年のサイクルの中で対象が変わるという形なのですが、4月はもちろん新入社員研修が多く、内容は「マナーが身につけよう」っていうのが多かったのですが、今私に求められているのは、「学生時代の学生的発想からの脱却をメインに、プラスアルファ、マナーも身につけよう」こういった講座を依頼されるのが多いです。社会人基礎教育はもちろんですが、色々なワークなどを通じて学生から社会人的な考え方への移行や行動変容が起こるときっていうのがやっぱり面白く、あとは研修を終えた後に、こないだの研修がすごく良かったのでまたやって欲しいですって言われる瞬間がやっぱり一番嬉しいですね。みんなちょっと何か変わったんだなっていうのを感じられると嬉しいです。
人の変化を感じられるのはすごくやりがいになりますね。
平野さん:
30年とか40年生きてきて研修を受ける方達は、自分のその前の人生を全部否定することはできないから、そんなに変化ってすごく大きいものはないけれど、その人たちなりに何か有意義なものを感じてくれてるようではありますね。
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働き方というところで、フリーランスとして働く中で大変なことはどんなことがありますか?
平野さん:
大変なことは自分を律すること。まず自分が「やりたいです」って周りに発信して、それをやると決めたら自分なりにストーリーや計画を立てて行動していく必要があります。あとはやっぱり仕事と生活の境目がなくなっちゃうので、そこもちゃんと切り替える。そういう心づもりやけじめを自分でちゃんとつけるっていうのが、フリーランスの人にはすごい大変で必要なことですね。
なるほど。
平野さん:
なにせナメクジが立ち上がらなきゃいけない!
確かに!笑
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自分を律する上でこうしたら自分は立ち上がる、というような、自分に対する工夫はありますか?
平野さん:
とにかく自分の中でちゃんと理念を持つということが大切だと思ってます。私はその今研修会社を1つ、自分でも立ち上げていて法人化しているのですが、その研修会社の理念が、「子供たちが憧れる大人社会を作る」なんです。いわゆる、子供が大人になった時にこういう大人がいる社会だったら自分も楽しそうだなって思えるような大人社会を作りたいっていうのがあって、だからこそ、合わせてその大人の方にもアプローチするというのが自分を律する1つの理由です。あとは、本当にナメクジなので、立ち上がるのに色々な理由が必要で、会社を立ち上げた頃から少しずつ利益の内から子供たちへの寄付をしていて、自分が働いたら寄付の額が増えるっていうのが、自分を律するまた1つの理由だと思っています。
今いる子供たちへの支援と、あともう大人になった子、つまり昔子供だった人たちへの支援を、両面からやっていくのが自分の使命なんだろうなって思ったら、なんかナメクジでも立ち上がらないと駄目だなと思いますね。
すごく素敵ですね。
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最後に、平野さんにとってキャリアコンサルタントという仕事はどういうものなのでしょうか。
平野さん:
そうですね。キャリコンってあまり多くのことはできないんですよね。一緒に何かをやってあげることもできないし、どちらかというと引き出してあげるお仕事。今本当に自己承認欲求が足りていない大人がたくさんいるので、引き出すことによって、自己承認欲求を満たすきっかけが1個でも見つかって自分が自分を支えられるきっかけになればいいなと思います。
大切ですね。
平野さん:
経験として、自分がちゃんと頑張っていることに気づかない学生も案外いるので、そこに気づきを与えられるのはキャリコンの仕事だなと思いますね。友達も良いんだけれど、ただ年齢が少し離れているからこそ伝えられて、客観的に一緒に自分を振り返ることができると思うので、そういったちっちゃい存在だと思います。
でも、そのきっかけのおかげで自分自身で自分を支えられるようになって大きく変化していくと思うと、種を蒔いているように感じます。
平野さん:
そうですね。キャリコンも塾の先生も研修講師もそうだけれど、その時分かってくれなくても10年後20年後に「誰かからこれ聞いたな。あの時ちっちゃい平野が何か言ってたな。これだったのか。」って分かってくれたら、すごく至福ですよね。
効いてくるのはお薬のように即効じゃなくても、長い目で見ているんですね。
平野さん:
そう。まさに佐々木さんが仰ってくださったように、種をまく。自分で自分を支える種をまけたら本当に素敵だと思います。
ありがとうございます。素敵なお話を聞かせていただきました。