【オンライン化で進む、選考の均質化】

2021.12.14

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谷口諭

コロナ禍になり、新卒採用のオンライン化が進みました。ある統計によれば、2022年卒の就活生のうち、81%は内定までの全プロセスがオンラインで完結したそうです。一部の大手企業やスタートアップのみならず、多くの企業が一律にオンライン化を進めたことがわかります。
参考: https://iroots.jp/log/242

本原稿を執筆している2021年11月現在、10日連続で全国の新規コロナ患者発生数が300名未満となり、緊急事態宣言も解除されたところです。ポストコロナをどのように迎えるのか、社会全体として検討をしている中、採用についても各企業の対応が問われています。

採用の成否は、内定者が入社した後に成果を出せるか、またどの程度勤務が継続するかによって評価されるべきです。よって、オンライン選考を評価するのはまだ時期尚早と言えます。

しかし、2023年卒採用も、オンライン選考を中心に進める企業は一定数いる模様です。ある調査によれば、新型コロナウイルス終息後もオンライン採用を継続する予定は44.5%でした。終息後は未定とする企業も23%あり、学生は今後もオンライン選考への対応が必要とされると想定されます。
参考: https://offerbox.jp/company/jinji-zine/market-trend-next/

弊社でも2023年卒の採用支援業務を開始しておりますが、オンライン化を継続する予定の企業が多いと感じています。特に、応募者数が多い企業においては、一定の人数に絞り込む段階まではオンライン選考を継続することを早々と決めていることが多いです。

「一定のコミュニケーション能力があるか」「一定の企業・業務理解があるか」「一定の自律性やリーダーシップがあるか」など、重要な評価項目においてフィルタリングする上ではオンライン選考で十分との判断があったものと推察します。加えて、オンラインであれば、会場や人の手配の手間とコストが大幅に圧縮できます。

採用にあたって、オンラインの方がフィルタリングの質は均質化すると感じています。
・採用責任者が選考に陪席をして、担当者に評価方法をフィードバックする
・選考を記録し、チームで見返して評価基準についてすり合わせる
といった活動がオンライン化によってしやすくなっているためです。これらはリアル選考でもやろうと思えばできますが、実施のハードルが下がることにより、一層活発に取り入れる企業が増えています。

採用支援をする側として、採用チームで評価基準を均質化していくことは歓迎するべきことだと感じています。

一方、均質化にとらわれすぎていないかと考えるシーンもあります。生の映像記録を含めて共有をされることが、学生の言動に影響を与えている可能性はあると感じています。例えば、最初の挨拶を含めたラポール形成、最後の聞き取り内容を踏まえて選考への動機づけをするコメントなども、リアル実施時と比べて均質化していないか?個別化されるべき事項も均質化してしまってはいないでしょうか?

コロナ終息後もオンライン選考が継続されるならば、採用支援者も熟達度を上げる必要があります。オンライン選考ではどのような傾向がみられ、どのように対応をするべきか、チームとしてこれからも検討を重ねていきたいと考えています。