【学生カウンセリング現場より】
2021.12.14
COLUMN
AUTHOR
中田順平
「歯科矯正」の話から考えたカウンセラーに必要な資質
先日、とある大学の職員様から
「学生からこんな相談を受けたのですがアドバイスいただけませんか?」
とご連絡をいただきました。
歯科矯正を考えているという学生から
「歯科矯正中に就活をすると不利なことはあるか?」
と不安げに問い合わせがあった、とのことでした。
うーん、どうだろう?
影響はほとんどないのではないか……とその場では思ったのですが、
メールでのご連絡ということもあり、あらためてご回答する旨で一旦返信をしました。
弊社のキャリアカウンセラーたちはどう考えるだろうか、意見を聞いてみたいと思ったからです。
弊社は全員が日々リモートワークで業務を進めていることもあり、日常のコミュニケーションは社内SNSを活用しています。
「職員様からこんなご相談をいただいてるのだけど……」
と投げかけてみたところ、複数のメンバーから返信が届きました。
そのうちの一部をご紹介します。
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結論として「全く問題なし」とお答えすると思います。
本人の能力や、将来の業務の能力とは一切関係ないためです。
むしろ本人の仕事に対する意識の高さ(矯正に関する価値観はそれぞれあるものの)によるものであるため、
現時点で矯正していることをウィークポイントとして判断する事は、表面的な印象ジャッジにすぎないと思います。
もし落とされるのであれば、価値観や考え方のミスマッチが入社前にわかって良いのでは?と助言すると思います。
仮にエアラインなどのような、人がサービスになる業務であってもそのように思います。
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「気にならない」「問題視しない」と考えます。|
採用で知りたい人柄や経験値と、矯正をしていることは直結しないためです。
これまでご一緒した企業からも、そのような事項を特記するようにという話もありませんでした。
また、直近の中途採用の20代女性で矯正されている方がいましたが、全く気に留めませんでした。
矯正をしていることによりご本人が何か引け目を感じてしまい、笑顔が控えめになる、表情が固くなる、全体的に自信の無い振る舞いになることは大変もったいないと感じます。
面接で、「矯正をしているので笑顔が固いかもしれませんが、精一杯伝えたいと思います」など言ってしまうのもありだと思います。
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採用担当として、矯正装置がついていると、あ、付いてるなとは思いますが、特にそのことでマイナス評価にすることはありません。
ただ、丁寧にメンテナンスしていないと、汚い印象を与えてしまうことはあると思います。
私自身、社会人になってから矯正した経験があるのですが、歯医者でメンテナンスした後2〜3日は話しにくかったり、痛かったりします。
清潔に保つためのメンテナンスは必要ですが、面接に集中できなくなるかと思いますので、大事な面接の直前には歯医者に行かない等、予定調整が必要になります。
また、矯正全体のスケジュールを歯医者さんとよく相談して、就職活動とのスケジュールと照らし合わせて決めたほうが良いと思います。どの時期にどんな治療が必要で、口周りや装置がどんな状態になるのか、細かく聞いてイメージしておいたほうが良いと思います。
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投稿されたコメントに対してコメントを加える形の投稿もあり、ちょっとした議論になりました。
このやりとりを私はとても嬉しく思いました。
同時に、手前味噌ながら非常に誇らしく思いました。
「力になりたい。困っている人の声に応えたい。」
という気持ちを持ったメンバーが集っていることを改めて感じたからです。
このようなやりとりを振り返って、ふと思ったことがあります。
キャリアカウンセラーに求められる資質は何なのか?
この問いには様々な考え・議論があることと思います。
専門的な知識
専門的な技能
これらは当然必要ですし、多くの専門家が日々研究・研鑽を重ねていることでもあります。
しかし、知識や技能はあくまで道具です。
その道具を使う・活かすためにはエネルギーが必要です。
「力になりたい。困っている人の声に応えたい。」
という気持ちはこのエネルギーにあたる部分だと思います。
学生や大学職員の皆様のご期待に応えるために。
キャリア支援の専門家として自身が成長・発達し続けるために。
そんなエネルギーを持った人たちが集まっている価値は大きいなあ、こういう想いを持っているというのは、カウンセラーの資質として大切だなあと考えさせられる出来事でした。
同時に、自分はどうかな?エネルギーを持てているかな?と自己を振り返る機会にもなりました。
相談に訪れる学生は毎回真剣です。
(表面に現れる態度は様々ですが、みんな自分なりに奮闘し、もがいています)
そんな学生たちと対峙できるよう、チームでお互いに刺激し合い、襟を正し合いながら日々の仕事に取り組んでいます。